借用書の書き方について

従業員、あるいはお知り合いの方から頼まれて、お金を貸されるという企業様もあることと思います。
その際、借用書を作成されていない企業様におかれては、トラブル防止のために是非作成されることをおすすめいたします。
また、作成されている、という企業様におかれましても、以下の諸点にご留意いただければと思います。

1 返済期限、利息等
利息や、支払いが遅れた場合の遅延損害金について定めるかは任意ですが、その前提として返済期限は必ず定めましょう。なお、利息や遅延損害金については、そのパーセンテージについて法律上上限が設けられています。

2 期限の利益喪失条項(分割払いの場合)
分割払いの場合、支払いを1回でも行わなかったら残額を一括で返済しなければならないという規定(「期限の利益喪失条項」といいます。)をつけておきましょう。

3 連帯保証人
返済の確実性を高めるため、もし可能であれば、借主以外に連帯保証人を設定しておきましょう。特に、金額が高額の場合、連帯保証人がいないようであれば貸付自体を再考されることをおすすめします。

4 管轄
裁判となったときに、これが行われる裁判所の場所のことを「管轄」といいます。借用書に限らずですが、契約書を作成される場合にはこの管轄を設定しておきましょう(企業様の所在地近くの裁判所を指定することが通常です)。

5 注意点
なお、貸付先が従業員の方の場合、その給与から天引きすることで回収されている企業様もいらっしゃるかもしれませんが、これについては原則として禁止であり(労基法17条)、真に従業員の方が希望した場合に限り有効とされています。後のトラブル防止のためには、給与支払いの都度、従業員の方から「相殺することについて同意します」という一筆を差し入れさせる等の工夫が必要となってきます。