少数株主対策の必要性とは?

1 少数株主対策の必要性
経営陣で自社の株式の過半数を保持しているとしても、少数株主対策を検討することは重要です。

〈少数株主対応の留意点〉
①株主総会での質問、提案や株主権の行使に対応することは経営者にとって負担です。特に少数株主権や単独株主権は要注意です。
 ・少数株主権:役員解任請求権、会計帳簿閲覧謄写請求権、株主総会招集請求権などの一定の議
        決権割合を満たす株主に認められる権利
 ・単独株主権:株主代表訴訟の提起権、違法行為差止請求権、議案提出権、議事録閲覧謄写請求
        権など1株でも行使できる権利
②少数株主であっても株主管理コストは発生します。

2 少数株主対策
少数株主対策としては、たとえば以下のような内容が考えられます。

【総論】
①経営陣への株式の集中には時間がかかることが多いため、早期の対策が必要。
②株式買取資金の準備。
③株式の集中が難しい場合は、現在の株主構成のままで少数株主に対応する策を検討。株主総会や取締役会への弁護士によるオブザーバー参加など。
④各対策における税務面のチェック(税理士に相談)

【各論】
①株式の買い取り(交渉)
柔軟な対応が可能で最初に検討することになりますが一定の関係性が築けていないと難しい方法です。
②株式の併合
株式併合後に少数株主の持株が1株未満となるような併合比率で株式併合を行い、これによって生じた端数の処理で少数株主をキャッシュアウトします。
③特別支配株主の株式等売渡請求
総株主の議決権の90%以上を有している株主(特別支配株主)が、その他の少数株主全員に対して、その保有する株式全ての売り渡しを請求できる制度です。
④全部取得条項付種類株式
株主総会特別決議により、その種類の株式の全部を取得することができることを内容とする種類株式です。
⑤相続人等に対する売渡請求制度
この売渡請求についての株主総会特別決議においては、対象相続人は議決権を行使することができないため、持株構成によっては逆に乗っ取られる危険性があります。そのため、この制度を導入する場合、慎重に検討する必要があります。
⑥単元株制度
単元株式数に満たない数の株式(単元未満株式)を有する株主(単元未満株主)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができないため、株式の分散状態は変わりませんが少数株主対策となります。
⑦議決権制限株式 
上記6と同様、株式の分散状態は変わりませんが少数株主対策となります。
⑧第三者割当増資
資金調達の必要性など正当な理由がある増資は結果的に少数株主対策となることもあります。ただし、その効力を争われることも多いです。

3 まとめ
以上は、少数株主対策の一例であり、このほかにも色々な問題や対策が考えられますので、株主構成についてご質問などありましたら、ご相談ください。