従業員による不当・不合理な労災申請がなされたら
労災保険制度は、労働者(アルバイト、パートタイムを含む)の業務上の事由または通勤による傷病などに対して、必要な保険給付を行うものです。
代表例としては、業務中の現場での事故等により従業員が傷害を負った場合など、事情が明白な場合がほとんどです。しかし、目撃者等がいない場合の不可解な受傷や、ハラスメント等を原因とした精神疾患の訴えなど、必ずしも業務起因性が明らかではない場合もあります。
このように従業員の主張を裏付ける証拠が非常に乏しく、直ちに了承できない場合、事業主としては労災の給付請求書への証明(認証)を拒否することができます。ただし、事業主が拒否しても、従業員は申請可能です。
申請後、通常、労基が必要に応じて災害の原因及び発生状況等などについて調査を実施します。このとき、事業者への質問や現地の調査などがあるのが一般ですが、事業者は労災の申請当事者ではないため、状況を適宜共有してくれるわけではありません。
そのため、知らない間に、調査が終了し、労災が認められている、ということもあります。
よって、不当な労災申請などがなされた場合は、事業主として積極的に労基に対して連絡を取り、事業主として、関係資料等の証拠、意見書などを提出すべきです。

また、不当な労災申請が認められて労災支給処分がなされた場合、事業者はこれを取消訴訟で争うことはできません。当事者としての原告適格がないとされています。
この点から、労災支給処分がされるまでの間に、積極的に関与していくことが大切です。
労災の判断は複雑です。特に精神疾患の場合は業務起因性において、心理的負荷の有無や強弱の該当性を緻密に争う必要がありますので、特に注意が必要です。