1 利用規約とは
  利用規約とは、サービス等を提供する事業者が、そのサービスを利用するにあたっての決まりごとをまとめたものであり、ユーザーが利用規約に同意することで、利用規約がユーザーと事業者との間の契約内容となります。
  サービスを提供する側としては、利用規約によって、事業者及びユーザーの権利・義務の範囲を明確にしておくことで、ユーザーとのトラブルの発生を未然に防止したり、いざトラブルが発生した場合などには責任の所在を明確にできたりするという点でメリットがあります。
  また、定型かつ多数の契約を行うようなサービスの場合、利用規約を定めておくことで、画一的な処理を行うことが可能となり、業務の効率化という点でもメリットがあります。

2 利用規約で定めるべき内容
  どのような内容を規約で定めるかは、サービス内容により様々ですが、一例としては、以下のような内容を定めておくとよいかと思います。
 ・サービスの利用条件(サービス利用は、利用規約への同意が前提となること等)
 ・用語の定義
 ・利用登録、利用開始の方法
 ・利用料金
 ・IDやパスワード管理について
 ・禁止事項、ペナルティ
 ・サービス停止、中断
 ・解約の方法
 ・免責事項
 ・サービス内容の変更、終了
 ・利用規約の変更
 ・権利関係(特に著作権等の知財関係、所有権等)
 ・準拠法、裁判管轄

3 利用規約の運用方法
  せっかく上記のような利用規約を作成しても、ユーザーから「そんなもの見ていない」等と言われてしまっては元も子もありません。契約書に利用規約への同意に関する記載をする、同意書面を取り付ける、WEB上で同意ボタンを表示する等、様々方法はありますが、サービスの提供方法に沿った方法で、規約の内容について同意を得ておくべきです。

4 定型約款との関係
  民法上、定型取引(=ある特定の者が、不特定多数の者を対象として行う取引であって、取引内容の全部又は一部が画一的であることが、双方の当事者にとって合理的である取引)についての利用規約は、「定型約款」として取り扱われ、①双方が、定型約款を契約の内容とする旨の合意をすること、②定型約款を準備した者(定型約款準備者)が、あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示すること、のいずれかの条件を満たせば、定型約款の個別の条項についても合意をしたとみなされることになります(同法548条の2)。全ての利用規約が定型約款に該当するものではありませんが、民法上の定型約款の規定(同法548条の2~4)は、利用規約の運用方法(同意、表示、変更方法等)の参考になるかと思います。