違法行為の対処方法とは

従業員の不正(非違)行為はある日突然発覚します。これに対して、会社としてどのような対処をするべきであるか、その手順を把握していますか?
例えば、従業員が顧客から集金した代金(現金)を会社に納入せずに、自分のギャンブルに使ってしまっていた、というケースが発覚したとします。まずは何をどうすべきでしょうか。
この例の場合、大きくは以下の3つの検討が必要です。

1 懲戒処分の検討

まずは就業規則を確認します。懲戒処分は、就業規則の定めに従って検討しなければなりません。懲戒手続きについて詳細に定めている場合は手続を確認します。あわせて、対象社員をそのまま就業させていいのか、あるいは、自宅待機命令を出すべきなのかも要検討です。なお、自宅待機については、原則給与は発生します。
懲戒処分に関しては、「懲戒事由」と「懲戒処分の種類」が定めらえていますので、どの事由に該当し、どのような処分にするかを検討する必要があります。
また、懲戒処分にあたっては、対象者に「弁明の機会」を付与する必要があります。
弁明内容とその記録については、後述する刑事処分や民事損害賠償にも関わる部分ですので、不安な場合は、懲戒の種類の検討を含め、当事務所にヒアリングを含めてご依頼いただければと存じます。

2 刑事処分に関する検討

本件のケースでは、非違行為が「業務上横領罪」に該当しますので、対象者の刑事処罰を求める場合は、警察に相談し、被害届ないし刑事告訴を検討します。証拠の有無や損害額の多寡によってもこの判断は変わります。
これについても、管轄の警察との事前の相談・協議が必要です。

3 民事損害賠償に関する検討

非違行為によって会社に実害が生じているため、従業員に損害を賠償してもらわなければなりません。しかし、往々にして対象者に資力がないため、一括返済は容易ではありません。親族に連帯保証をさせるなど、どのように回収するかを検討し、対象者との間で、示談書(合意書)を成立させるのがベストです。
特に現金の横領などの場合は、客観的な証拠が乏しく、損害額の特定が困難な場合も珍しくありません。後日、対象者が損害額を争ってくる場合も想定し、早期に合意を成立させるのが得策です。
仮に、示談書を根拠にした民事訴訟の提起もより容易になります。

特に1の懲戒手続きについては、速やかに検討して対応する必要があります。自宅待機命令を発令しても、原則、給与が発生することや、懲戒解雇にする場合は解雇予告除外認定についても検討が必要になります。
一連の対応についてのサポートも行っておりますので、お気軽にご相談ください。