慰謝料の原因と基準算定額

 1 財産的損害と精神的損害

財産的損害とは、物の滅失や債権の消滅等の財産権に対する損害といい、これと対となる概念として「精神的損害(肉体的苦痛、悲嘆、恥辱等の精神的苦痛)」というものがあります。この精神的損害に対する賠償が、いわゆる「慰謝料」と呼ばれています。

2 何を原因とする?

慰謝料といっても、その原因としては様々あります。
不貞行為、名誉棄損、プライバシー侵害、肖像権侵害、情報漏洩、ハラスメント関連、交通事故関連(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)、犯罪行為(傷害、暴行、迷惑防止条例違反、性犯罪)等、様々なものを原因として発生するものとなります。

3 額の算定式はある?

この点、交通事故事案における慰謝料算定は基準の明確化が図られています。例えば、入通院慰謝料についてもその「期間」に応じて一定の算定式があり、後遺障害についてもその等級毎の慰謝料というものが定められています。
一方で、それ以外の類型における慰謝料については、明確な基準というのは無いのが実情です。ただ、慰謝料額の多寡を判断するための「考慮要素」には一定の傾向がありますので、それらを踏まえて検討する必要があります。要素が何なのか、どこに比重が置かれるのか等、まさに類型や事案ごとに判断すべき内容となります。ネット記事等で「~の場合には~万円の慰謝料が認められる!」という誤解を招くものが散見されますが、一義的に決められるものではないのでご注意ください。また、「物」が壊れたことによる慰謝料というのは「原則発生しない」とされていることにも注意が必要です。
法律的な評価が必要な部分となりますので、疑問等ございましたらお尋ねください。