1 試用期間とは

 試用期間とは、採用した労働者を本採用する前に、その労働者が自社の業務を行えるだけの能力や適性を備えているかを確認するための期間です。試用期間を設けるためには、就業規則や雇用契約書に、試用期間を設けることを明記する必要があります。

 概ね、3~6ヶ月程度の期間を設定しているところが多いと思いますが、1年を超えるような期間の設定は、そのような長期間をおかなければ人材の見極めができないといった特別の事情が無い限り無効と判断される傾向にあります。

2 試用期間=自由に解雇できるわけではない

 試用期間の間の雇用契約は、法的には、「解約権留保付き雇用契約」とされています。解約権留保付き雇用契約とは、労働契約は成立しているものの、会社は解約権を行使することが許されており、一方的に解除できる契約ということになります。

 このように書けば、試用期間中は、会社は労働者を自由に解雇することが可能なようにも思えます。しかし、あくまで雇用契約自体は成立しており、期間満了時の本採用拒否はその雇用契約を終了させる効果を持つことから、一般の解雇と同様に、「解雇権濫用ルール」の対象となり、ただ本採用後の解雇と比べると、多少当該ルールの適用が緩やかに判断されるものに過ぎません。

3 本採用拒否について

 上記の通り、本採用拒否は実質的には解雇と同様ですので、これを行うためには就業規則上の解雇事由が存在する必要があります。加えて、一般の解雇と同様に、試用期間満了日の30日前までに解雇予告通知書を出すか、解雇予告手当を支払わねばなりません。試用期間の満了日に、「本採用しません」と伝えるだけでは駄目ですのでご注意ください

4 試用期間満了前の解雇

 なお、試用期間が満了する前に解雇することは、相当ハードルが高いとされています。

これは、試用期間は従業員としての適性を吟味するための期間であり、その期間全てを使って判断するべきと考えられているからです。試用期間を長期とする場合のリスクはこの点にあります。